2022/3/5追記:2022年版の記事は以下です。
これまで7つの塾の入試報告会雑感を書いてきましたが、最後に日能研の入試報告会「オン・ザ・ロード」について、やっと書けました。
日能研内部生ではない方は、資料入手のためのパスワードは他塾と同様に申し込む必要がありますが、動画は以下のページから普通に視聴可能です。
動画は全部で240分以上ありますが、長ければ良い、というものではないです。
動画と資料の構成
動画は計12本、資料は大きく3種類あります。
動画は「はじめに」「おわりに」を除くと、以下の3つに分かれています。
- キーノートスピーチ
- 入試情報
- (日能研の教務スタッフによる)パネルディスカッション
また、パスワードを入手後に参照できる資料は以下の3種類になります。(日能研内部性はMyNichinokenから参照可)
- 中学入試問題データ
- 首都圏入試分析ブック
- 日能研情報
なお、首都圏入試分析ブックからは「さらに詳しい入試データ」のリンクがあり、そこから145校の平均偏差値層別の受験者数・合格者数、併願情報などを確認できます。
以下、動画から順に雑感を書きます。
動画⓵:キーノートスピーチ
全部で1時間以上ある動画ですが、1回聞いたあと、僕には「そう、」の2文字しか記憶に残らなかったです。
まず前半の動画は以下のようなことを言っているらしいです。
- 不確実な未来で幸せになるには、自分の意志で主体的に、仲間とともに学び続けられる変革者になるべし。
- 変革者になるための学びは、お堅い公教育ではなく、変化しつづける私学の方が身につく。
- 日能研には、目先の中学受験合格に向けた丸暗記やテクニックではない、私学につながる学びがある。
では、日能研にはどんな学びがあるのか、が後半の動画みたいです。
- 日能研では試験対策的な受動的な学びではなく、探求や対話を通じ、仲間とともにつくる学びがある。
- 具体的には、対面・動画・オンライン、仲間と・自分で、といった選択ができたり、主体的な意見を出し合えるテキストを用意したり、採点前のテストの答案などを題材に振り返り・原因深堀りをさせたりして、意思をもって次につなげるような取り組みを行っている。
確かに例えば後期日特では、過去問や類似問題の演習以外に、仲間と答案を交換して意見を出し合ったり、授業前の取り組み意志表示や授業後の振り返りなど、直接勉強に繋がらないように思えることもやってたようです。
対象の学校が第一志望の受験生が集まる後期日特ということは、仲間どころか直接のライバルじゃん、という発想は確かに今も昔(35年前の自分)も感じないのが、良くも悪くも日能研の特徴かも。
ただ、動画やオンラインはコロナ以前は殆どなかったし、採点「後」の答案を使って正答率が高い問題を次で落とさないように復習するのが現実的な振り返りだと思いますが・・・
そういえば、MyNichinokenにある、各回授業ごとにある「学びのとびらからの準備」という動画、正直自分には何の意味がある動画なんだろう?と思っていたのですが、少し分かったような気がしました。
でも、その動画を使うかといえば、やっぱりその前に宿題やテスト(採点後)の振り返り、漢字小テストとかをこなす方で精一杯、というのが現実だと思います。
あと、先日行った「よみうりGENKIフェスタ」で、これまで全く関心持っていなかった学校にも立ち寄って話を聴いたところ、上記の「自分の意志で主体的に」「受動的な学びではなく、探求や対話を通じ、仲間とともにつくる学び」に似た教育方針を説明してくれた学校が複数ありました。
つまり、合否とは別に、「私学につながる学び」は確かに日能研にはそれなりにあるのかもしれません。
ということで、キーノートスピーチは日能研なりの宣伝なんでしょう。
そう、合格実績では某大手塾にかなわないから。
動画⓶:入試情報
コロナの影響で、私学への期待が高まった(私学は変化にすぐに柔軟に対応する一方で教育理念は一貫していることが評価された)という見解のようです。
ただ、「子供が自分で私学を選択する」ことを大切にしているそうですが、オンラインWeb説明会や動画配信だけでは子供が私学を選択することは正直困難だと思います。百聞は一見に如かず、子供が文化祭やオープンキャンパスで実際に学校に足を運んで行ってみることの重要性がよく分かった1年だったかと。
あと、「平均出願校数が1/31時点で7校、最終的に8校」というのは、もちろん2/1・2/2の合否結果をもとに、後半にチャレンジ出願に切り替えた人もいる一方、なかなか合格がもらえずに苦しんだ人も多く、日能研は後者が多かったのではないかと・・・
地方別の方は割愛しますが、1点だけ。
昨年と比べると紹介した学校の数は減ってますが、(偏差値等に関係なく)いろんな学校を知ってみるべし、という点だけ伝えたいのであれば、減らして良いかと。どうせ説明しきれない数の学校があるので、あとは特に親が(過去の偏差値などからの偏見とかなく)情報収集して子供と相談すれば良いかと思います。
動画⓷:パネルディスカッション
内容が3つに分かれているので、それぞれ書きます。
【今年の入試問題の印象】
特徴のある学校の問題をかいつまんで紹介しているもの。
問題などは動画内でも表示されており、少なくとも大人が見る分にはSAPIXの音声ファイルよりは理解しやすいです。
1点、志望度が高い学校の解説は、子供にはじっくり見せない方がいいです。このあと触れる、貴重な直近分の過去問なので。
なお、例えば志望校の入試問題の算数で「規則性を問う問題が頻出」「空間図形を切断する問題が頻出」といったレベルの情報は早めに子供に知らせて良いです。その単元を子供が学習するときのモチベーションが高くなります。
逆に、志望校では「特殊算はほぼ出題されない」といった情報は子供には知らせるべきではないです。併願校で出題されるかもしれないし、志望校の入試担当が変わるかもしれないし。
【私学の想い、メッセージ】
算数でデータや表をもとに「気づいたことを述べなさい」といった形式の問題は、今後データサイエンティスト養成の面で、増えていくかと。
市川で出題された、プログラミング(フローチャート)のような問題も。
【大切にしたい学び方】
「学び家アクション」についてはキーノートスピーチのところで記載した通りのため割愛します。
「動画を見てから対面授業を促進」「アンサーガイド」「クエストガイド」「仲間の記述例」は、どれも我が家では使ったことがないです。
特に「動画を見てから対面授業を促進」とのことですが、予習して来い、という意味ではないようです。
ちなみに35年前は予習教材として「栄冠への道」がありました。当時も、授業で使うテキスト(当時は受験全解、いまの本科教室)より大きいサイズだったはず。
以上が動画に関する雑感です。以下は資料について。
資料⓵中学入試問題データ
上記パネルディスカッション【今年の入試問題の印象】と重複しますが、志望度が高い学校の解説は、子供にはじっくり見せない方がいいです。
あと、最後の方に「学校別・分野別難度一覧」がありますが、これは意外に参考にならないと思います。
同じ学校について、単年ではなく過去5年とかで見ないと・・・例えば声の教育社の過去問書籍では、最初の方のページで過去数年にわたり出題分野を分類しており、その方が分かりやすいかと。
資料⓶首都圏入試分析ブック
この資料のなかに、「難関校への道のり」という、いくつかの超難関校について、合格者の4年、5年時の偏差値データ、4年~6年の最大の偏差値の伸び幅などをグラフとともに示しているものがあります。
4年・5年の合格者最低の偏差値に目が行くかと思いますが・・・特に4年偏差値については、まだ4年時は本格的に取り組んでいなかった合格者の偏差値と考えておき、4年終了時に4年偏差値が合格者最低偏差値より上であっても、その時点ではあまり期待をもつべきではないです。
これよりも、ページ右下「さらに詳しい入試データ」から確認できる合計145校のゾーン(偏差値ランク)ごと受験者数・合格者数(および合格率)、および併願校データが、参考になります。
特に、子供の6年時の平均偏差値がCゾーン(R3偏差値以下)の場合、現実的には合格がどのぐらい厳しいか分かります。
この、合格者数だけではなく、あえて受験者数まで公開しているところが、良くも悪くも日能研らしいです。
あと、個人的には「首都圏中学入試基本統計」の最後の「1985年~2022年 入試年表」(1ページだが字が小さいので量は結構ある)は参考になります。
中学受験経験のある保護者は、自分の中学受験の時との変化(特に学校名変更、新設校、共学化など)をかなり把握できます。
資料⓷日能研情報
これは、「オン・ザ・ロード」とは関係ありません。
日能研に通塾はしていない(テスト受験のみ、夏期講習など期間講習のみ)人向けのサービスである「Nポータル」で公開されている情報です。
詳細は以下をご参照ください。
ちなみに日能研関西は4/30まで、以下のページから「動画配信はこちら」をクリックしたyoutubeページで動画20本(総括1本10分、それ以外は全て学校ごとの入試問題解説動画が学校ごとに約30分)を公開しています。
東西で全く統制取らない(取れない)あたりが、やはり良くも悪くも日能研らしいです。
あと、内部生はMyNichinokenから合格者インタビュー動画を参照できますが、僕はこの手の動画は関心が無いので、他塾同様に割愛します。
さいごに
僕は日能研以外は7つの塾全て、今回初めて入試報告会を聴きました。(日能研も昨年度しか聴いていませんが)
コロナで騒ぐ前はおそらくどの塾も、リアル会場で主に平日に開催だったかと思うので、平日は仕事の僕の場合、動画配信となった今年度だから聴くことが出来ました。
動画だけ比較すると、最も印象に残ったのは早稲アカ(訴えかけてくる説明)でした。
おそらく僕が日能研に毒されているためですが、早稲アカと日能研のどちらが良い・悪いではなく、自分の子供に合っているかは実際に通わせてみないと分からないかも・・・
資料は同じ志望校を横並びで比較してみる手はあります。特に難関校の問題傾向分析であれば、Z会エクタス等も参考になるかと。
ちなみにSAPIXの資料は先日受領できました。動画はやや期待外れでしたが、資料は質・量とも充実していました。
以下、これまでに書いた入試報告会雑感へのリンクとなります。
最後に、日能研・首都圏入試分析ブックの「さらに詳しい入試データ」145校に、1校、肝心な学校が入っていません。
そう、広尾学園小石川が無いのです。
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